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高津川のテラス風景
 

ーAI時代における「気づき」と「学び」を育む教育が吉賀町から動き出しますー

島根県吉賀町は,ファッションデザイナー・森英恵氏や彫刻家・澄川喜一氏といった,国際的にも高く評価される創造者たちを輩出してきました.その背景には,自然と文化が織りなす独自の環境,そして人間の創造性を静かに育んできた,地域固有の力が存在しています.

私たちは今,その吉賀町を舞台に,年齢や分野を超えて人々が自らの感性と創造性に光を当て,育み,さらに深めていくための多様なワークショップを企画・実施する「夢の時間割」プロジェクトを始動しました.
このプロジェクトは,欧米におけるサマーキャンプのように,自然の中で身体と心を動かしながら,他者と関わり,未知の体験を通して「気づき」を促す,新たな学びのモデルを提示するものです.

ここでは,アーティストやパフォーマー,職人,研究者,そして自然と共に暮らし,大地の声に耳を澄ませてきた地域の知者たちが講師として参加し,自らの技や知恵を伝えることで職能を発揮し,社会に貢献します.一方,参加者はその出会いや実践を通じて,日常では得難い学びや感動を体験します.こうした創造と教育が循環する仕組みは,文化的にも経済的にも持続可能な地域の未来像を育むものと考えています.

従来の教育が主に知識の伝達と習得を目的としてきたのに対し,「夢の時間割」は,身体知や暗黙知を重視し,感性・直感・関係性といった人間特有の能力を再評価する“体験知型教育”を構想しています.
特に,AI(人工知能)が高度化し,情報処理や論理的思考といった知的作業の多くが機械に代替されつつある現代において,人間固有の創造性と感性の価値が,あらためて重要な意味を持ち始めています.自然の中での創造的な営みや,身体性を伴う経験は,情報化社会における“人間らしさ”の再構築にもつながると私たちは考えています.

「夢の時間割」は,知識の習得を目的とした教育ではなく,「気づき」を起点とする創造的な学びの体験を通じて,思考力・共感力・表現力といった本質的な力を引き出すことを目指しています.これらの力は,AIと対立するものではなく,むしろ共生と相乗効果を生み出す“人間知”の基盤となり,社会の持続的発展を支える原動力となるはずです.

今後,私たちはこの「夢の時間割」を,吉賀町が持つ地域資源と創造力の象徴として,全国へ,そして世界へと発信していきます.
そして,吉賀町が“ワークショップのまち”として,国内外の学びの実践者たちに認識され,創造的教育の拠点として成長していく未来を描いています.気づきの体験が,学びをより豊かにしていきます.

吉賀町からはじまる新しい「学び」のかたち,あなた自身の「夢の時間割」に参加してみませんか.

 
  ー高津川てらす「夢の時間割」プロジェクトー